何が売れて、何が売れないのか。三十年を古本屋を営んでいる店主だったとしても、その売れ筋を読み切るのは困難です。適格に売れるものだけを入手してくるのは不可能で、結果は神のみぞ知る、といったところです。

 しかし、そうはいっても近似値を狙うことはできます。将来的に、その落手した本がごみ箱行きにならないように、確実に売れる本を着実に学習していくのです。

 世の中は常に変動していきます。価値観も流行も一つのところにとどまることはありません。もちろん、本も例外ではないのです。

 例を挙げましょう。ベルリンの壁崩壊の折、社会主義関係の本がいくつも古本屋に持ち込まれました。その本は、現在絶版となっており、大変貴重なものになっています。

 需要と供給の原理原則を当てはめれば、ないものは高くなり、多く出回ったものは安くなります。それは当たり前のことなのです。

 私は、毎日、新聞に載っている新刊本の広告を見たり、今週のベストセラー本を覚えておきます。特にミリオンセラーとなっている本はよく問い合わせもあります。

 しかし、そんな本は扱いません。100万、200万部と売れた本は、時が来れば古本屋にどっと流れこみます。最初のうちは売れたとしても、すぐに売れなくなります。もちろん、そこで売れ残ったものはすべてゴミとなります。

 同じベストセラーでも、永遠のベストセラーといわれる聖書は別です。中には、ロングセラーというものがあり、大学でも必ず参考図書や資料として毎年必要となるものもあります。そうした書籍は、地味ながら確実に売れていきます。

 古本屋の店主は、学者ではないし、あらゆる本の内容に精通している必要はないと思いますが、少なくとも、その著者が何者であるかはなんとなくでもよいので知っておくと用でしょう。それぞれ専門分野には優れた功績を残した人たちがいます。それらを少しでも知っておけば、無知ゆえにその価値を無為に投げ捨てるようなことはなくなります。

 知らないで損をすることが多々あるからです。そこは注意をすべき点の一つだといえるでしょう。